《森 光年》
忙中閑ありなどと申しますが、火のついたように慌ただしい繁忙期の最中、たまの休みを逃さず飲みに行ってまいりました。 日本橋電気街のバーを2件はしごして、最初の店でマティーニとサイドカー(正確にはグランマルニエ・サイドカーなのですがマスターはサイドカーだと言い張ります)、次の店でジントニック、ダージリンクーラー、ニューヨーク。 店の人ともいろいろ話してとても楽しかったのですが、さすがに飲みすぎました…5杯中3杯がシュートカクテルとはあきらかに無謀。 そんなに強くも若くもないので、ほどほどを心がけようと思います。 そんなわけで森光年なんですが、ファッション、というよりモードの話題なので興味のある方も少ないと思いますがこんなニュースが飛び込んでまいりました。 【ジョン・ガリアーノがデザインしたマルジェラをアナ・ウィンターが着用(Fashionsnap.com)】 かつて鬼才と謳われたデザイナーのジョン・ガリアーノが、90年代に脱モードで一世を風靡したメゾン マルタン マルジェラのディレクターに就任し、その初となる作品とともに公の場に姿を現した、というニュースです。
ガリアーノといえばかのクリスチャンディオールのデザイナーを長年にわたってつとめ、フランスの最高勲章であるレジオンドヌール勲章を受章したほどの俊英。
ですが三年前、パリのカフェで酩酊して他の客に絡み、差別主義的な言葉を浴びせかける姿を動画に撮られ、刑事訴追を受け勲章も剥奪され、以来、表舞台から姿を消しておりました。 そんな問題児のガリアーノがマルジェラのデザイナーとして復帰するという噂が流れ、すぐにそれが事実であることが判明したときには騒ぎになりましたね。 マルジェラといえば80年代後半~90年代、脱モード・脱構築でファッション界に革命を起こしたモードデザイナー。 マルジェラの提唱した新しいモードがニルヴァーナのボーカル、カート・コバーンに影響を与え、グランジと呼ばれるファッションが生まれたのは有名な話です。 グランジの誕生により膝の破れたジーンズを履くことがファッションとして世に定着したので、われわれの生活の身近なところにもマルジェラの遠い影響があると言えるかもしれませんね。 さておき、現在ではマルジェラ自身は自らのブランドを去っており、デザインチームがデザインを行っていますがそのテイストは健在。 装飾性を排し形状の本質に迫るスタイルがメゾン マルタン マルジェラの特色と言えます。 簡単に言えばシンプルで色味も地味。「カレンダータグ(と呼ばれる数字が書いてあるだけの同ブランドのタグ)を外せば無印良品と見分けがつかない」と揶揄されることすらあるほどです。 それに対してガリアーノのデザインは絢爛で豪奢。 水と油のようなマルジェラとガリアーノがはたして融合できるのか? という点にファッション好きの関心は集まっておりました。 リンク先の写真からだけでは「ガリアーノのマルジェラ」について良いとも悪いともまだ判断はできませんが、それにしても着用者がアナ・ウインター! 問題児のガリアーノとファッション界の暴君。食あたりをおこしそうなほど強烈な絵づらです。 アナ・ウインターといえばヴォーグ誌の名物編集長として君臨しているモードの女帝。 映画「プラダを着た悪魔」の傲慢で傍若無人な編集長のモデルこそがアナ・ウインターだといえば、どれほど強烈な人物なのかお分かりいただけるかと思います。 ちなみにジョン・ガリアーノ、かつてブイブイいわせていたころにはこのようなエグ味たっぷりの見た目をしておりました。 ですが、ちょっと前にフランスのテレビ番組に出演した際にはこれこのとおり。 すっかり爽やかに漂白されて「きれいなガリアーノ」と化していたんですけど、アナ・ウインターと一緒の写真ではまた以前の汚いガリアーノに戻りつつある感じがしますねえ。 またぞろなにか馬脚をあらわして再び表舞台から追放されないことを祈るばかりです。 なんだかんだ言ってもガリアーノが去って以来、ディオールの路面店のショーウィンドーで新作のドレスを眺める楽しみが減りましたからねえ。 |
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