《森 光年》
先日、どうしても飲みたくなり夜半に馴染みのバーへ出かけまして。一杯だけゆっくりといただいて外に出たら大阪の街が夜霧の海に沈んでおりました! 今から思えば、どうして写真を撮らなかったのかというところですが(普段写真を撮る習慣がないのが悔やまれます)、あまりにも幻想的な光景だったので我を忘れていたのかもしれません。 大阪生まれの大阪育ちですが、大阪の都市部が霧に呑みこまれているのに遭遇するのは初めてです。 昨今の奇妙な気象のせいだとしたらおそろしいですが、いいものが見れました。 そんなわけで森光年なんですが、その日に飲んでいたのが『マルティネス』という名のカクテル。 カクテルの帝王と呼ばれるマティーニの原型なのではないかといわれているお酒です(諸説ありますが)。 サンフランシスコのあるバーにある日入ってきた男が「マルティネス(東京-横浜、大阪-神戸ぐらいの距離にあるサンフランシスコの隣町)まで旅をするのに元気が出る一杯を」と注文したカクテルがアメリカ全土に広まって、「マティーニ」と転訛したとかしないとか。 レシピもさまざまあるようですが、その日はタンカレー・ジンにチンザノのベルモット1757ロッソ、ビターズ、そしてルクサルドのマラスキーノをステア。 コクのある甘み、複雑で豊かな香り、舌にかすかに痺れるような苦味。古めかしくて甘美で、霧の夜にふさわしい一杯でした。 ポイントはやはりチンザノ社が創業した1757年の製法で作られているというベルモット1757ロッソとマラスキーノでしょうね。 ベルモットはワインに薬草を漬け込んだフレーバードワイン、マラスキーノはサクランボのリキュール。 この二つの複雑な香りと味わいが絶妙に絡みあい、みごとな多重奏を形成していました。 どちらもそこらのバーではそうそうお目にかからないお酒なので、もつべきものは酒マニアの馴染みのバーテンダーというところでしょうか。 いにしえのカクテル「マルティネス」。飲んでみたい方は大阪東心斎橋のバー『UMEYA』まで!(ステマ) 余談ながら、マラスキーノといえばパフェなんかの上によく乗ってるマラスキーノチェリー。 かつてはチェリーをマラスキーノに漬け込んでいたことからこの名で呼ばれていますが、現在ではマラスキーノを使わない製法で作られているそうです。 現代のバーではほとんど使われず、チェリーにその名を残すのみのマラスキーノ。しかしそのチェリーにもすでに使われていないとは…なんとも物悲しいですね。 |
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