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《森 光年》
近況というかなんというか、古着屋でA.P.C.(アーペーセー)の濃いグレーのズボンが1890円で売られているのを見つけました。見事なまでの叩き売りです。豪快です。 こちらの公式通販サイトをご覧いただければお分かりのように、A.P.C.のズボンといえばだいたい2万円ぐらいの価格帯。 なんといいますか、A.P.C.は古着屋でぎょっとするような安値をつけられていることが多いように感じます。堀江にあんなおしゃれな路面店を構えているのに評価は低めです。 まあしかし、その古着屋ではA.P.C.の同じようなズボンが4000円ぐらい(それでも安い)で売られていたりもするのでよく分かりません。状態の差でしょうか。1890円のほうがそれほど劣化しているようには見えなかったので、あるいは前の持ち主が死んでいたりするのか……!? いや、そんなことないですね。すいません。なんか、履きなれたジーンズをわざわざ古着屋に売るのはどんなやつなのかという好奇心から思わぬ事件に巻き込まれるというローレンス・ブロックの短編『おかしなことを聞くね』を連想してしまいました。 さて、そんなわけで森光年なんですが、タイトルに書きましたとおり、難波の新歌舞伎座の裏通り、『難波楽座』という飲み屋街には、猫のいるおでん屋『白蓮』があります。お店が暇なときにはカウンターに猫が堂々と寝そべっていたりして、たいへんのどかです。 二週間ばかり前に私と風見がお邪魔したときには、店のおばあさんの膝の上に立派な成描が一匹と、まだちゃんと目も開いていない愛らしい仔猫が一匹。聞けばかわいそうに仔猫のほうは奇しくもその日、店の前に捨てられていたのだそうで。元気に育って欲しいものです。 そんなわけで、猫好きの方には是非おすすめしたい『白蓮』なのですが、おでんも非常に美味しいです。しかもリーズナブル(とはいえ諸物価高騰している昨今、やや値上げしているメニューもある様子でしたが)。 私はとくに、生ゆばがたまりませんでした。他には大根やたまごや厚揚げ等のレギュラーメンバーはもちろん、ばくだんや梅焼きも美味。 かなり古びた……という表現では生ぬるいぐらい年季を感じさせる外観で、カウンターだけの狭い店ではありますが、常連の年配のお客に混じって若いカップルがよく入店していたりもします。周囲に洒落た立ち飲み屋なんかもあるので、その流れでおでんを食べに来るのでしょうか。 ただ、メニューに白いご飯はないようなので要注意。少なくとも店内のお品書きには見当たりませんでした。 にも関わらず、店のおばあさんは炊飯器(これがまた、店構え同様の年代もの。昭和の電気釜という感じ)からご飯をよそってむさぼるように食べ始めたりします。営業中に堂々とカウンターで、しかもお客の座るほうの側で。なんというセンスオブワンダー。 あと、お会計がレジでも電卓でもなく、おばあさんの弾くそろばんで計算されるのも見逃せないポイントです。しかも計算が遅い。それに、時間がかかったわりに計算結果が随分どんぶり勘定だったような気もします。 まあ、そんなハプニングも含めてユニークで味わい深い素敵なお店です。おばあさんは嬉しそうに猫の話をしてくれます。近くにお出かけの際は、是非。 けっこう分かりにくい場所にあるので、見つけだすのはちょっと大変かもしれませんが…… |
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