《大浜サキ》
最近、映画「容疑者Xの献身」を観に行ってきました。 手の空いたときにポツポツと見てたTVドラマ「ガリレオ」の劇場版です。 ドラマは典型的な安楽椅子探偵ものを、イケメン物理学者のフィルターで くるんだところがユニークだなー、なんて思って見てたんですが、 映画は打って変わって社会派を匂わせる重い内容で驚きました。 特に社会の底辺を生きる容疑者のひたむきな姿が哀しかった。 原作の東野圭吾さんの本は二~三冊しか読んだことなくて、 まともに内容を覚えてるのは「白夜行」くらいなものなんですが 「あぁそうだ、孤独感をごりごり掘り進めるようなこの感覚は東野さんだ、 こういう作家さんだったよなあ」とひとりごちたりしました。 ドラマの方では解決法が閃いたと同時に、ギターの旋律に合わせて 湯川(主人公)が数式を書きなぐり始める、というのが一番の見せ場です。 でも今回の映画はそういった脚色をばっさりカット。 曲が流れるのはスタッフロールでのみ。 そんなところに、キャラ映画の部分は極力控えて、内容に沿った雰囲気を 充実させようという制作側の姿勢が見えて好感を持ちました。 TV局主導型の映画でこんなに真面目に作られた作品を見たのは初めてです。 それから良かったのが演技。 マイフェイバリット邦画のひとつ「39 -刑法第三十九条-」でも容疑者をつとめた 堤真一さんのふるまいに更に磨きがかかってました。 なんというかこう、どろりとした眼とマネキンのような冷静さをたたえる一方で、 裏にたぎるものを持っている役をやらせると最高にハマるわー。 特に後半は、もう・・・。 数学の天才 VS 物理学の天才、というシチュがたまらない今作だけど、 堤さんの非モテ演技と福山さんのリア充演技の対決もある意味見ものです。 というか堤さん、一瞬老けたかと思ってぎょっとしたよ。 あと、さすがに映画なだけあって、ヘリからの空撮やクレーンカメラ、 猛吹雪の雪山でのロケなど、スケールアップしたシーンが多かったです。 事件発生→推理→解決→エピローグ、のコンボであっという間に過ぎてしまう 1時間ドラマに比べて、濃厚な人間模様をじっくり見れたのも良かった。 こういうのは映画のいいところですね。 (というかこの映画はこれが全てでした。トリックはおまけ) ちなみに、地球少女アルジュナというアニメがありまして。 生徒には見向きもされず、ブツブツと黒板に向かっていた数学教師が、私生活では 「数学の美」を語る・・・その背中が、あのアニメに出てくる先生とダブってしょうがなかったです。 (別にどちらかがパクりだーというわけじゃなくて) |
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