《森 光年》
少し前の話ですが、近所のスーパーでボーグ星人の頭部みたいなチューリップハット(?)をかぶった中年女性を目撃してぎょっとしました。大阪のおばちゃんのファッションセンスは、あいかわらず奇抜すぎます…… 西洋の甲冑を思わせるそのデザインが印象的で子供心に大好きだったボーグ星人ですが、考えてみればあれは女性型宇宙人なんですよね。 ということは、空山基のイラストやコブラのアーマードレディ、古くはメトロポリスのマリアのようなメタル美女が大好きな人たちからすると、ボーグ星人もたまらんキャラクターなのかもしれません。 ボーグ星人といえばウルトラセブンに馬乗りになっているスチル写真が有名ですけども、そう考えるとあれもいささかフェティッシュなシーンに見えくるから不思議なものです。 まあ、私などはメタル美女趣味への理解が薄く、せいぜいモビルスーツ少女系が理解できる程度の半端者でして。 当時、プラレス三四郎のアニメ版を見ては、桜姫その他の女性型プラレスラーたちが試合中、操縦者の顔になる(あくまでイメージとして)という原作の演出をなぜアニメではやらないのかと不満に思っていたりしたんですが、メタル美女趣味の人たちからすると無表情なロボ顔の女性型プラレスラーたちが戦うアニメ版はたまらない作品だったようで、じつに奥深いですね。 そんなわけで森光年なんですけども、ボーグ星人→ヴォーグという強引なこじつけでモードな話題にもっていこうというわけでもないんですが、2011年の春夏のミラノコレクションが始まりました。 大手ファッションブログの『Elastic』さん経由で知ったんですが、一部のブランドはオンライン上でショーを公開しておりまして私もさっそく見てきました。 バーバリー・プローサム クリストファー・ベイリー率いるバーバリーの主軸ラインです。 ライダースから始まってミリタリーになだれ込み、最終的にはアメリカン・バイカー風の鋲付きの革ジャンまで突き抜けてしまう驚きのラインナップ。それらの男臭いアイテムを、ちゃんとベイリー風味に落とし込んでいるのはさすがの一言です。詩情あふれる上品な身なりでありながら鋲付きの黒レザーのバッグを提げて登場した最後のモデルさんが、コレクションのテーマを如実にあらわしています。ターンした瞬間に、バッグの鋲がぎらりと光る演出もあざとくていいですね。 プラダ いわずと知れたプラダです。襟まわりにアクセントを置いた、いつもの未来服じみた奇抜なプラダでありますが、後半になるにつれてシルエットがルーズになっていくのが意外で面白かったです。 あと、後半に出てくる上部がぐるぐる模様の切り返しのニットが可愛い! 欲しい! でも30万ぐらいすると思う! しかし、なんといっても白眉なのは最後にちらっと登場するミウッチャ・プラダさん(創業者の孫娘にして天才デザイナー)のキュートな仕草とお洋服でしょうね。いつもは姉御肌か肝っ玉母さんという感じのミウッチャさんが、まるで少女のようで可愛すぎます。 あと、ミラノ関係ないですがNYデザイナーのトム・ブラウンがレディスを開始するそうで。 トム・ブラウンからレディスデビュー!(VOGUE.COM) 以前から老舗ブルックスブラザーズとのコラボで素敵なレディス服を展開していたトムブラウンなのでとくに意外性はないのですが、驚いたのはリンク先の記事の彼の服装です。 トムブラウンといえばグレー好きとして知られ、自身のデザインでも多用するほか、私服でも巧みにグレーを使いこなすおしゃれ上級者でいつもグレーばかり着ていると言われていますが、そんな彼が黒タキシード! 足元が短パンですので黒タキシード限定のフォーマルな場で撮られた写真というわけでもなさそうですし、いったいどういう心境の変化でしょうか…… 保守的だったNYのモード界に新たな風を吹き込み、NYデザイナー大躍進の先陣を切ったトム様ですが、時代に置いていかれたのか追い抜きすぎたのか、はたまた単純に服が高すぎたのかブランドは経営破綻。 その後、若年女性向けに廉価な服を販売して儲けている日本の企業に買収されてしまったり(ヒマラヤほどの消しゴムがどうのこうのと熱唱するCMを流している会社です)、その結果、それまではこだわりにこだわりぬいてジャケット一着50万円ぐらい(!)という脅威の価格帯で勝負していたにもかかわらず値段を大幅に下げざるをえなくなったり(海外では5万円ぐらいでジャケットが買えるそうですよ)、そうしたらそれまで彼を軽視し馬鹿にしていた人までもがこぞって買いに走るようになり、飛ぶように服が売れてしまったりと受難続きのトムブラウン。 ついに暗黒面に落ちて黒トム様にジョブチェンジしてしまったのかもしれませんね。一刻も早く、もとのグレーでおしゃれなトム様に戻って欲しいと思います。 |
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