《森 光年》
編集している当人らだけが総合カルチャー誌だと思い込んでいて頻繁に妙な特集を組むことで知られるファッション誌『Huge』の今月号に、プレイボーイの条件なる記事が掲載されておりまして。

「素肌の上にセーターを着てもチクチクしない」とか「酒は割らずに飲む」とか納得できるものから受けねらいなものまでさまざまなプレイボーイの条件がならぶなか、「いつでもどこでもセックスできる」というのがひときわ目を引いたんですが、おまえそれは小池一夫漫画の読みすぎだろうと。

愛してないからエレクチオンしないもン！ で広く知られる小池ワールドにおいては男たるもの愛する女性の求めに応じていつでもどこでも即全裸、即エレクチオンが基本であります。
というか小池作品の登場人物は全裸になるためなら手段を選ばない人たちばかりなので、愛する女性が求めようが求めまいがいつでもどこでもなんらの必然性がなくとも即全裸になるので、プレイボーイというよりただの変態だと思いますが。


そんなわけで森光年なんですけども、劇場に映画を見に行くこともすっかりなくなってしまった私なんですが（とくに３Ｄ３Ｄとかまびすしい昨今の現状ではなおさらに！）、ひさしぶりに映画館に足をはこびたくなるようなニュースに立て続けに二つ出くわしました。

ひとつめは、以前に当ブログでも触れたことのあるロバート・ロドリゲス監督作品『マチェーテ』の日本公開決定です！

Machete 2010 trailer


ダニー・トレホ主演のＢ級アクション作品ということでなかばあきらめていたところに、これはビッグニュース。やっぱりセガールさまさまでしょうか。デニーロもドン・ジョンソンもジェシカ・アルバも出てますしね。アメリカではそれなりにお客も入っているようです。

１０月２日現在、日本版オフィシャルサイト（→こちら）にほとんどなんの情報もないあたりに配給会社のなみなみならぬやる気のなさを感じずにはいられませんが、１１月６日の劇場公開を楽しみに待ちたいと思います。


もうひとつのニュースは、うってかわって文芸の香り漂う映画『シングルマン』（→日本版公式サイト）の日本公開。こちらは１０月２日ということは今日から始まってますね。
交通事故でパートナーを失い、自殺を決意した同性愛者の大学教授の一日を描いたというこの映画、監督はなんと世界的な名声を得ているファッションデザイナーのトム・フォードなんですね。

A Single Man - Official UK Trailer


トム・フォードといえば俳優志望からモデルへ、さらにデザイナーへと転身し大成功を収めたというルックスにも才能にも恵まれたチートスペックぎみの人物でして。９０年代、ラグジュアリー（贅沢）ブランドが軒並み零落するなかにあってかのグッチのデザイナーに就任し、苦境にあった同ブランドを立ち直らせたことはつとに有名であります。

現在は弟子にあたるフリーダ・ジャンニーニにグッチのデザイナーの座を譲り自身のブランドに専念しているトムですが、007ジェームス・ボンドのスーツを手がけたりと華々しい活躍を続けており、男性ファッションの世界では全盛期のアルマーニが君臨していたポジションに今や彼がいるといっても過言ではないでしょう。
値段の話をするのも下世話ですが、なにせトム・フォードの服はスーツ上下で５０万円、シャツ一枚で６万円ぐらいはしますからねえ。まさに高嶺の花。世界の男性の憧れというか、ある種のステータスですね。ちなみに、元サッカー選手でおしゃれに金を使うので有名な武田修宏さん（おしゃれで有名なのは中田英寿）はトム・フォードをご愛用のようです。

と、そんなトム・フォードなんですが、俳優志望だったというだけあって映画制作に憧れがあったんでしょうね。映画を撮ったと聞いたときには有り余る金にあかせた道楽かと下衆な勘ぐりをしたものですが、蓋を開けてみれば初監督作品であるこの『シングルマン』、各地の映画祭で好評を博したようで。
ファッションだけでなく映画まで、ほんと頭にくるのを通り越して笑うしかないほど才能あふれる男ですが、映画に対する情熱と愛情あればこその結果なんでしょうね。

とはいえさすがにマイナーすぎる作品ですし、海外で昨年公開されてからなんの音沙汰もないということで日本でも劇場放映はないものと思っていたんですが、深夜の映画紹介番組で近日公開の作品として紹介されているのを見てびっくり。
大阪では今のところ梅田のイーマ（金星竜みたいな名前ですが、気取ったおしゃれ商業施設です）の上の梅田ブルク７のみでの上映のようですね。
こういう文芸的な映画を見に行ったりする高尚な趣味は持ち合わせていない私なんですが、この作品には惹かれるものがあります。