《森 光年》
先だっての三連休初日は、大阪市内では珍しい雪景色が見られて驚きました。 記録によれば三年前にも1センチ以上の積雪はあったようですが、街が銀世界になるほどの降雪となると記憶にあるかぎり十数年ぶりのことではないかと思います。 それでも昼過ぎに天候が回復すると、みるまに雪が溶け去ってしまったあたりはさすが大阪市内、情緒もへったくれもありません。 で、週があけて本日は吹雪のような荒れ模様! 北国の人には鼻で笑われそうですが、まとまった雪が立て続けに降るなど大阪人にとってみれば天変地異というレベルです。おそろしや。 というわけで森光年なんですが、そんな雪景色の三連休の初日、いつのまにか近所にオープンしていたパン屋さんに行ってまいりました。 『trois 3』という変わった名前のこのお店(ショップカードを見ると表面には『3』とだけ書いてあり、裏面には『トロワ』とあるので、『trois』ないしは『トロワ』が正式な店名のようです)、昨年11月にオープンしたそうなんですが、近所とはいえなかなか足をはこばないような裏通りに位置しているため、つい先日ふとしたきっかけで存在を知るまではまったく気づいていませんでした。 で、追い討ちをかけるかのようなタイムリーさで近畿地方限定の婦人向け情報誌『』の今月号のパンとコーヒー特集にてこのお店が取りあげられ、これも何かの運命と思い、雪の降りしきるな初訪問した次第ですが、これが大正解! 築250年という町屋(そんな建物が今まで普通に放置されていたあたり、さすがわが町です)を改装し、立派な門構えにゆったりとした前庭、それを抜けた向こうに店舗がたたずんでいるというこの小粋なブランジェリを訪れるのに雪の日はうってつけ! 雪化粧で飾られた純和風建築の情緒がご近所で満喫できようとは。 で、肝心のパンですがクリームパンやメロンパン、あんパンなど町のベーカリーの定番どころから(珍しいことに高知県の名物・帽子パンもありました)、本格的なフランス風のヴィエノワズリーやバゲット、オリジナルのアイデアを盛り込んだパンまで幅広い品揃え。 クロワッサン(189円)、メロンパン(126円)、抹茶のブリオッシュでホワイトチョコを包んだパン(95円)の三種類しかまだ試していませんが、どれも嬉しくなるくらい美味しくて上品、洗練された味わいはお店の方(美男美女の若いご夫婦で、どちらもパン職人のようです)の土台のしっかりした高い技量を感じさせてくれました。 以前から何度かご紹介している『アップルの発音』もそうですが、こんなパン屋さんがよくぞ辺鄙なわが町に! と感無量ですね。休日の朝の楽しみがひとつ増えました。
ちなみに、『トロワ』のすぐ近くには『塩伊』という名の小さな和菓子屋さんがありまして。
塩問屋から転職し、江戸時代から続いているというこのお店、店頭に飾られた等身大の福助人形がインパクト抜群すぎて子供のころ軽くトラウマでした(近隣の子供たちはみんなそうだったと思います)。 そんな大昔から町の風景の一部と化しているような和菓子屋さんで生チョコ大福などというモダンなものが売られていて、しかも美味しいらしいと聞きつけたのがごく最近。 福助が怖すぎる店、という子供のころのイメージしかなく、しかも噂の生チョコ大福は125円というリーズナブルにも程があるお値段。半信半疑で試してみたんですが、これがもう本当に美味しいのなんの。辺鄙な町の片隅でうずもれているのはもったいないほどの完成度を誇る名品です。 たっぷりの生チョコを薄くなめらかな餅で包みこみ、チョコレートのパウダーをふりかけたシンプルな代物なんですが、とにかく食感が抜群。滑らかな口当たりがふわっと広がったかと思うと淡雪のように溶けてゆく。125円とは思えない贅沢な味わいです。 あえて難をいえばチョコレート自体の風味が当然ながら値段相応で、これで価格を210円ぐらいに設定してもう一段か二段いいチョコレートを使えば、今すぐにでもデパ地下や全国おとりよせの一線級で活躍できる逸材だと思います。 とはいえ下町の和菓子屋さんである以上、地域に密着した価格帯に抑えざるをえないのでしょうねぇ。じつに惜しいです。 バレンタイン商戦まっ只中の先日(そういえば、今日がバレンタインでしたね…)訪問した際にも生チョコ大福をパワープッシュしている様子が微塵も見受けられなかった同店ですが、来年のバレンタインあたりはちょっとぐらい商売っ気を出してほしいものです。 そんなわけで、『さぬきうどん嘉希』のカレーうどんが大阪の超有名グルメブログに紹介されて注目を集めていたりもするJR平野駅界隈(ここのうどんも本当に美味しいです)。 美味しいパンや和菓子もございますので、たまには気分を変えて知らないローカルな町なみを歩いてみたいという皆さま、足をはこんでみられてはいかがでしょうか。 ほら、JR大和路線で難波駅まで行けば堀江のすぐ近くに出られますし、そのついでに! |
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