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Dr. Dre 『I Need A Doctor』
《森 光年》
ほとんどメモ代わりで恐縮ですが、私の地元にある古民家改装パン屋さん『アップルの発音』で今朝購入した、貴重な白牛のチーズを使ったブリオッシュ生地に枝豆(!)を混ぜたパンが感動的に美味しかったです。
やさしいチーズの風味に対し、主張しすぎない枝豆の味わいが絶妙のアクセント。かろやかな口あたりで、あっというまに完食。もっとずっと食べていたかった……


そんなわけで森光年なんですが、前回、ポエトリー・リーディングの伝説的アーティスト、ギル・スコット・ヘロンの訃報について書いた際、彼の死にいちはやくラッパーのエミネムが追悼の意を表したことにも言及しましたが、それに関連してネットをたどっているうちにDr.ドレーがエミネムをフィーチャリングして新曲を発表していたことを知りました。

といっても四ヶ月も前の話なので何をいまさらという感じですが、その曲のPVにいたく感動したのでご紹介いたします。
まずはとにかく公式にYouTubeで公開されている動画をご覧いただいて……といいたいところですが、7分37秒と長いうえに背景の事情を知らないとよくわからない内容ですので、無粋を承知でまずはご説明を。

Dr.ドレーといえばヒップホップ界の超大物プロデューサー兼ラッパーで、業界の黎明期である80年代から一線で活躍し続けている大ベテランです。
とはいえそんな彼にも不振の時期はありまして、自ら立ちあげたレーベルの人気が低迷し自身も麻薬におぼれるというどん底を味わったそうなんですが、そんな苦境も彼のレーベルからエミネムという大スターが生まれたことで救われたのでした。

新曲のPVはそんな背景を反映しており、海岸でたそがれつつ過去を回想していた(芸名がDr.だからという安直な理由で紫の手術着でDJをさせられている黒歴史映像は必見!)ドレーが帰りの道すがら事故を起こして意識不明になるという二分間もの長いイントロで幕を開け、そこに駆けつけたエミネムが自分を見出してくれたドレーへの想いを切々とラップして彼を目覚めさせるという展開。
ドレーの曲なのに彼のラップは後半にちょっとあるだけというのもすごいですが、感動的なのは最後の最後、リハビリを終えて復帰した(麻薬中毒から立ち直ったことの暗喩ですね)ドレーが何者かの墓を訪れるシーン。
『Eric Wright』と記されたこの墓碑、じつはイージー・Eのものなんですね。

90年代初頭、ドレーはアイスキューブらも所属していたラップグループN.W.Aの初期メンバーとして活躍しており、同グループは大ヒットを飛ばして一世を風靡したわけですが、そのN.W.Aの主催者こそがイージー・Eでした。
非常に素晴らしいラッパーでありプロデュースの才もあったイージー・Eですが、ドラッグの売人あがりでどうにも金に汚い人物だったようです。
そんな彼との不和によりアイスキューブもドレーも次々脱退。のみならず、ドレーとイージーはのちに発表した互いのアルバムで悪口雑言のかぎりを尽くして実名で相手をののしり合うという事態に発展するなど(まあ、あの業界ではそれが日常茶飯事ですが)確執の深さは相当なものだったようです。
とはいえ、そんな経緯から生まれた彼らの楽曲が歌詞さえ聞かなかったことにすれば大変な名曲だったりして、ヒップホップというのはまことに業の深い世界だと思います。

しかし、そんなイージー・Eも95年にエイズにより若死にしてしまうわけですが、その彼の墓をドレーが見舞うという心憎い演出。
これはぐっときますね。今年の夏はドレー×イージー(イージー誘い受け)で決まりです。嘘です。

以前、フランスのヒップホップ界のアーティストがずうずうしくもイージー・Eの墓前で撮った写真をアルバムのジャケットに使ってしましたが、そんなのとは重みが全然ちがいます。
なにしろ、あれほどまでに憎しみあいののしりあった二人なんですからねえ……(どれくらいののしりあったんだろう、なんてうかつな好奇心を起こして「Fuck Wit Dre Day 和訳」とか「REAL COMPTON CITY G's 和訳」とかググッてはいけません! ぜったいググっちゃだめ!)

と、長い前置きになりましたがそれではPVをどうぞ。

Dr. Dre - I Need A Doctor (Explicit) ft. Eminem, Skylar Grey


 

雑記 | 2011/06/12(日) 16:45 | コメント(0) | トラックバック(0)
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