《森 光年》
大阪で起きた例の事件、まさに当日、目薬を買おうと現場からさほど遠くない薬局に立ち寄っていました。 さいわいにも事件発生から一時間以上が経っており、界隈の様子はいつもの週末と変わりなく、家に帰ってテレビをつけてあんないたましい惨事が起きたことを初めて知って血の気が引いたという次第です。 現場となった通りから一本北上すると私が普段よく行く古着屋があり、その日も足を運ぼうかと思っていたんですが後の予定が詰まっていたため断念。 そもそも予定が詰まっていたのは午前中、何かとばたばたして出発が遅れたためだったわけで、もし予定どおり一時間早く出発していたら、そしてついでに古着屋に立ち寄っていたらどうなっていたかわかりません。 私の愛する街で起きたあまりにも不条理な出来事に、なにをどう思えばいいのかさえ今はまだわかりませんが、犠牲となられた方々のご冥福を心よりお祈りいたします。 そんなわけで森光年なんですが、この記事の一つ前の大浜サキの記事のタイトルを見て一瞬、「えっ!? あの根暗音楽を偏愛する大浜がLMFAOの曲を!?」と勘違いしてしまいました。 あんな重すぎる話題のあとにこんなお祭り野郎どもの曲はどうかと思わないでもないですが、貼り付けます。 LMFAO - Shots ft. Lil Jon 2009年、お祭り二人組のLMFAOが、よりにもよって00年代最強のにぎやかし野郎リル・ジョンと手を組んだ悪夢のナンバー! なにを今更というヒット曲ですが、やはりすごいですよね、有無をいわさぬこの能天気さ。 踊らずに座って聞く系の内気なテクノを愛聴する大浜がふと漏らした「この人らの音楽には僕の居場所がありません……」という言葉がLMFAOのすべてを物語っているといっても過言ではないでしょう。
そういえばLCDサウンドシステムという、ロックをサンプリング源としてダンスミュージックを作るバンドが解散しまして。
LCD Soundsystem - All My Friends 箱庭タイプのアクションゲームのマスターピース的存在である『グランド・セフト・オート』の現状での最新作『GTAⅣ』のプロモーションビデオにもLCDサウンドシステムの曲が使われていましたね。 ちなみにその曲は『GTAⅣ』のゲーム内ラジオでも流れてくるんですが、このラジオにはなんとシャネルやフェンディのデザインも手がけるファッション界の最長老、カール・ラガーフェルド御大が架空のラジオ番組のDJ役で声の出演をしているという、どの層にアピールしているのかよくわからない無闇な豪華さだったりします。 そしてそのカール・ラガーフェルド御大はシャネル(だったと思います)のランウェイで『GTAⅣ』で使われたLCDサウンドシステムの曲を流していたりもします。 ファッション界ではカール御大が『GTAⅣ』に出演していること自体が話題になっていなかったので、このことも当然ふつうにスルーされてしまいましたが…… さて、そんなLCDサウンドシステムですが、じつはジェームス・マーフィーというDJのソロプロジェクトでして、ようするに西川貴教さんがTMレボリューションを解散した! というような話なわけで、解散も何もないだろうと思わないでもないんですがとにかく解散したそうです。 で、私はその解散をファッション誌の『Huge』でジェームス・マーフィーがインタビューされていたことで知ったわけですが、この『Huge』という雑誌、世間的にはモード寄りのファッション誌として見られているけれども自分たちでは総合カルチャー誌だと思い込んでいるようで、たびたびカルチャー系の特集を組んだり、まるまる一冊洋服の出てこない号を発行したりしているんですがその筋のマニアの人からは「内容が浅い!」と切り捨てられているという、そんな悲しい存在です。 で、そんな『Huge』でLCDサウンドシステムの解散を知ってしまったことがなんか悔しい! なんだろう、このなんら負けたわけでもないのにぬぐいがたい敗北感! まあさておき、そんな『Huge』のインタビューでジェームス・マーフィーが述べていた回想を読んで目からうろこが落ちました。 彼によると90年代、クラブシーンでは音楽マニアが音楽マニアに対して曲を作ってマニアぶりを競いあう、という状況にあったそうで。それが世紀が変わって00年代になるとそんなオタクたちの戦場であるクラブに、きらびやかにおしゃれした女性たちが入ってくるようになったのだそうです。 そうなるとクラブシーンは一気に華やぎ、音楽マニア以外の多種多様な人たちが集まるようになったんだそうで、音楽マニアたちもこのほうが楽しくていいじゃないかと気づいて華やかなパーティー向けの曲を作るようになった、と。 まあそんなようなことをジェームス・マーフィーは語っていたと思うんですが(記憶だけで書いているので違っていたらごめんなさい)、なるほどなあとお思いました。 あんな能天気な宴会サウンドを作っているLMFAOですが、奇抜な髪型や服装で粉飾しているものの、どこかオタクな佇まいだとずっと思っていたのです。 LMFAOとは方向性の違う、いかにもおしゃれなパーティーで流れていそうなしゅっとした曲を大量生産していて人気のあるデヴィッド・ゲッタというDJがいるんですが、彼にしてもルックスは完全に白人のナードのそれ。 ビキニ美女ぎっしりのプールサイドではしゃいでみせてもリア充の人らにからかわれているようにしか見えないその姿には、つねづね不思議な共感を抱いておりました。 David Guetta feat. Akon - Sexy Chick LMFAOやゲッタのような華やかなパーティー音楽を作るオタクたち。その誕生の背景にはクラブシーンの変遷があったのですね。勉強になりました。 では最後に、そんなゲッタとLMFAOという系統のちがうパーティー音楽の作り手たちが競演した結果、とっちらかってわけがわからなくなってしまった一曲を。 David Guetta & Chris Willis ft Fergie & LMFAO - Gettin' Over You |
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