《森 光年》
以前、わが家の近所でジャルジャルがロケをしていた話を書きましたが、そのとき収録されていた番組が先日放送されておりました。 予想どおり関西ローカル番組『ジャルやるっ!』の留守電ぐるナビのコーナーだったんですね。ゲストは曽祖父がドミニカ共和国大統領でマイアミの高級ホテル住まいだった幼少のころ、上の階にドン・ジョンソンが住んでいたというハーフタレントのユージでした。 『マイアミ・バイス』と『ナッシュ・ブリッジス』の狭間で、あまりぱっとしない時期だったと思うんですが(『ハーレーダビッドソン&マルボロマン』とか出演してたころ)いい暮らししてたんですねドン・ジョンソン。 さておき、ジャルジャルのその番組。 留守電に残されたあやふやなヒントをたよりに先輩芸人のおすすめの店を探すという内容のコーナーなんですが、わが地元でジャルジャルとゲストが探し当てた店は串カツの『いぬい』でした。ちなみに紹介者はほんこんさん。 うーん、やっぱりなあという感じですねえ。 私の地元が関西ローカル誌でとりあげられるときにはだいたい『いぬい』さんが紹介されますし、なにしろ半世紀もやっている老舗ですもんねえ。 恥ずかしながら私は、子供のころからこの町で暮らしていながら一度も『いぬい』さんに行ったことがありませんで。 いつも常連さんでごったがえしていて、根性なしの私が一見で気楽に入っていける雰囲気ではないんですよね。 初見のバーやフレンチには平気で一人で入っていけるようになったものの、こういう年季の入った店にふらっと入っていけるようになるにはまだまだ修行がいりそうです。 そんなわけで森光年なんですが、『いぬい』さんもいいんですけど、私の地元・大阪市平野区にもここのところいい店が何軒かできているので、この機会にいくつかご紹介したいと思います。 紹介したところで誰がこんなとこまで来るんだというような、大阪市の外れの町ではあるんですが……
まずはなんといってもパン屋さん。『アップルの発音』さんと『トロワ』さんです。
またか、と呆れられそうなくらいこのブログで何度も言及していますが、今や平野区といえばパンというくらいこの2店はハイレベル。 私の地元などにはもったいないくらいレベルが高すぎて、もはやオーパーツ状態です。 その『アップルの発音』さんにほど近い『まんがい家』さんもいいですね。タイやベトナムの屋台をイメージした狭小物件の店内でいただくエスニック料理が最高。 店名のとおり看板メニューはタイの蒸し鶏のせご飯、カウ・マン・ガイ。ですが何を食べても美味しいです。そして辛いです。 『まんがい家』のご主人は日本の方ですが、足しげくタイに遠征しては現地の空気を取り入れて意欲的にメニューを進化させておられます。 タイの屋台ではカウ・マン・ガイとこれが欠かせないという大判のチキンカツがたまりません。 最近ではタピオカとココナッツミルクを使ったあちらのおしるこもメニューに加わったとか。 『まんがい家』さんは夜に行くと閉まっていることが多いので、お昼がおすすめですね。 食べ物屋でなくコーヒー専門店ですが『ビーンズ ポエム』さんは大阪の福島で長年喫茶店を経営されていたベテランのご夫婦が地元・平野で開いたコーヒー焙煎屋さん。 世界各国のスペシャリティ・コーヒー(生産国だけでなく農園まで明記されたコーヒーのこと。コーヒー界に「第三の波」と呼ばれる潮流がおきる以前は、味わいのまったく異なる農園の豆を一緒くたにしてブラジルとかコロンビアとか大雑把なくくりで販売するのが当たり前だったのです)を焙煎して販売しているほか、店内でコーヒーをいただくこともできます。 ベテランご夫婦のコーヒー抽出技術はさすがの一言。高級品種のハワイコナや珍種のガラパゴスなども安価にいただけるのも嬉しいです。 最近になって、私が以前から熱望していたケニアの豆もラインナップに加わりました。 これまで主にヨーロッパで飲まれてきて日本では馴染みの薄かったケニアですが、アフリカの豆らしいどっしりとした苦味に加えて果実のような爽やかな酸味があり、コーヒー好きのあいだで好まれております。 かくいう私も一番好きなのがケニアのコーヒー。入手が非常に困難なレアな豆も含めるなら東ティモールが一番好きですが。 じつはどちらも、ジャマイカの言わずと知れた高級品種ブルーマウンテンを移植して作り始められたコーヒー豆だったりします。 あとは『イタリア食堂 ちぇるきお』も喫茶店居抜きの見た目からは想像もつかないほど本格派のイタリアンで油断のならぬお店です。ワインもリーズナブル。 本格といえば『さぬきうどん嘉希』も辺鄙な場所からは信じられないオーパーツ級のお店です。こちらのご主人もタイ料理好きらしく、『まんがい家』さんに姿を見せるとか。 さすがというべきかカレーうどんが絶品。 それから、最近のお店どころか江戸時代には塩問屋だったという超老舗ですが和菓子の『塩伊』さん。 古い町だけあってご近所にライバル和菓子店も多いのですが、ここのは群を抜いてますね。 とくにここの生チョコ大福は、大阪で125円で買える食べ物のなかではトップクラスの美味しさだと断言してもいいくらいの完成度。 ちなみにじつは小学校時代のクラスメートの実家だったりします。というかクラスメートが菓子を作ってます。そのことを知ったのは味に惹かれて通うようになってからですが。 余談ながら、『塩伊』さんから程近いところに人形作家の四谷シモンの作品が当たり前のように立っているのはもっと注目されてもいいと思います。 『ルネ・マグリットの男』というタイトルの長身の不気味な老紳士の像なんですが、もともとは大阪万博のおり、せんい館というパビリオンにこの像が何体もずらりと並べられていた(なんたる奇観!)中の一体なのだそうです。 シュールレアリズムの画家、ルネ・マグリットの作品に何度か描かれている顔の定かでない山高帽の紳士をイメージしたものなんでしょうね。 現在は、元は洋服店だった建物のなかに立っていてガラス戸越しにしか姿を伺うことはできませんが、私が子供のころはこの像、軒先に野ざらしで立っていたんですよね。 有名な人形作家の作品だとは知るよしもなく、近隣の子供たちからしたらそれはもう恐怖の対象でしたよ。 そういえば、同じく恐怖の対象だったのが『塩伊』さん軒先の福助人形! 等身大で妙にリアルなんです。 こちらも今も健在ですので、機会がありましたら是非ごらんください。 |
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