《森 光年》
ラッパーのカニエ・ウエストが、先ごろ発売したアルバムの中から新しいPVを作成して公開したんですが、これがなかなかの珍映像。 Kanye West - Bound 2 (Explicit) 感動的な出だしから、一転してのなんじゃこりゃ。良くも悪くもさすがカニエです。 ちなみに歌詞の内容を聞けばこの映像もなるほどとうなづけるかというと、そんなことも一切ありません。 そんなわけで森光年なんですが、前回の記事で前菜について書いたところで終わってしまった大阪のフレンチの新店『アニエルドール』のランチの話題の続きをお送りします。 前回うっかり書き忘れましたが、その日は昼間だというのにグラスの赤も注文。750円とリーズナブル。 オーストラリア産のピノ・ノワールのビオワインが出ました。育てにくいというピノでビオというのも珍しいような気がします。優等生なピノらしからぬパンチがあって美味でした。 さてさてメインの料理ですが、肉と魚から選べます。 シードル(林檎酒)のソースを使っているという魚料理も美味しそうでしたが、ここは肉料理を選択。なにしろお肉がガチョウなんですよ! ガチョウ! 今年の上旬、西天満の裁判所の近くにオープンした『イザイ』が、リーズナブルなランチでカモ料理を出したことで大阪のフレンチ好きのあいだで話題になりました。 そしてこちらは、そのカモより高価で希少といわれるガチョウ! 近ごろの大阪のランチ事情はどうなっているのでしょうか。 きのこ、野菜とともに、お皿をぐるりと取り囲むように配されたガチョウのロティ。中央には玉ねぎとブドウを裏ごししたソース。 じつに食欲をそそるビジュアルの一皿で、運ばれてきた瞬間「うおっ」と小さくもらしてしまいました。 ガチョウの肉の野趣に果実のソースの絶妙な調和。 科学調理を駆使した技巧派の前菜から一転、フレンチの王道を感じさせる正統派の一皿で、シェフの引き出しの深さを感じさせます。 火の通し加減はもちろん抜群。ガチョウの肉は心地よい噛みごたえがあって、食べ終わるころには満腹に近い充足感が得られました。
お次はデザート。パティスリーめぐりが趣味の私としては、レストランを評価するうえでこの部分は外せません。
アンズのシャーベットにクランブル(イギリスのメジャーな菓子らしいです)、ニワトコの花のエキスを使ったというなんだか想像のつかないメニューの方も気になったのですが、迷った末にもう一方を選択。 栗とビスキュイ/赤ワインのソース。さくさくのビスケットに栗のクリームをあしらってモンブラン風にした小粋なデザートです。 さっと一筋、皿の上に配された赤ワインのソースが鮮やか。 このソース、ただのいろどりではなくワインの苦みがしっかり活かされていて驚きました。デザートの甘さの引き締め役ですね。 ランチの最後は食後のお茶(コーヒー、紅茶が選べます)とお茶菓子。面白いことにその日の茶菓子はキプフェルンでした。 キプフェルンといえばドイツの代表的なお菓子。なおかつ私の大好物でもあるのでその旨をお店の方に伝えたのですが、それがきっかけでお会計の際にシェフから(そう、シェフが自らレジに立っていたのです)声をかけていただきました。 なんでもシェフはフランスでの修業時代、オーストリア人のシェフに師事していたそうで。 その縁でキプフェルンやシュトゥルーデルなど、ドイツ/ウィーン圏の菓子も作れるのだそうで。 これからの季節、デザートにアプフェル・シュトゥルーデル(ウィーン風アップルパイ)を出したいのだがシュトゥルーデルは焼き立てが一番。 厨房で調理しつつシュトゥルーデルの生地を伸ばす(シュトゥルーデルは生地をきわめて薄く伸ばすので大変なのです)は難しいので何か方法はないか思案に暮れている、というお話を熱く語ってくださいました。 そんなこんなで長々と書き連ねてまいりましたが、ハイレベルな料理がリーズナブルにいただけて、お店の方もフレンドリー、内装も計算されたカジュアルさでゆったりとくつろげて言うことなしのお店でした。 予約が取れなくなってしまう前に(もうなっているのかもしれませんが)みなさま是非に。私も近々再訪しようと目論んでおります。 |
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