《森 光年》
なにを隠そうわれわれ妥協倶楽部のメンバーのひとりがもうすぐパパになる予定でして。 この正月、出産を控えた奥さんは実家に里帰りするということで、その隙に妥協倶楽部の仲間でちょっとした新年会でもひらこうということになりました(奥さんが大変な時期だというのに、ほんと男というのは太平楽なものです)。 で、予定の合った参加者3人で去る1月4日にささやかな男子会を催したわけですが、せっかくだから美味しいものでもと用意したのがガレット・デ・ロア。 ガレット・デ・ロア(王様のケーキ、というような意味)とはキリスト教の祝日であるエピファニー(公現祭)の日に食されるお菓子のこと。 一昨年くらいから日本でも人気が急上昇して、あちらこちらで見かけるようになりましたね。 厳密にいうとエピファニーは1月6日なんですが、国や地域によっては1月2日から1月8日の間に祝うことになっていたりもするそうなので。 われわれのむさくるしい男三人の会合も、立派なエピファニーであったといえるでしょう(といっても参加者にキリスト教徒は一人もいなかったのですが…)。 そんなわけで森光年なんですが、せっかく食べるなら最高のガレット・デ・ロアを、ということで白羽の矢を立てたのが大阪は扇町にある『ラヴィルリエ』。 関西を代表するパティスリーであり、全国屈指の名店です。 毎年この時期ガレット・デ・ロアを販売しているラヴィルリエですが、今年の販売開始はなんと1月4日から。 われわれの男子会の当日とはまさに奇縁です(ちなみに販売終了は1月13日だそうです。詳しくはラヴィルリエのブログをご参照ください)。 ラヴィルリエといえば昨年末はシュトーレン(ドイツでクリスマスシーズンに食べられる伝統的なお菓子)を発売即完売させているお店ですので正直不安でしたが、元旦早々ケーキ食べ始めついでにガレット・デ・ロアを予約しにうかがったところ、シェフの奥様から用意してもらえるとの返答が! 余談ですが、この日は奥様はじめ接客スタッフの皆さんのみならず、服部シェフを筆頭に厨房のスタッフさん達まで入れ代わり立ち代わり出てきてくださって、われわれ顧客に丁寧な新年のあいさつをくださいました。 あらためて、ほんとうに素敵なお店だと思います。
余談ついでにもう一つ、ラヴィルリエのものもそうですが日本でよく見かけるガレット・デ・ロアはパイ生地にアーモンドクリームを挟んだもの。
じつはこれ、北フランス式のガレット・デ・ロアだそうで、南フランスではブリオッシュ生地(甘くてしっとりしたパン生地みたいなやつ)のが主流なんだそうです。 この南フランス式のガレット・デ・ロア、私がちょくちょくお邪魔させていただいている大阪は靭公園ちかくにあるフランス人シェフのショコラトリー『レ・プティット・パピヨット』で今月31日まで予約販売中とのこと。 ブリオッシュのガレット・デ・ロアなんて、日本ではまずお目にかからないので興味深いですね。おいしそう。 ガレット・デ・ロアも昨年あたりからずいぶん一般化してきましたから、流行の先を行きたい人は南フランス式をチェックしておいてはいかがでしょうか。 話があっちこっち行ってしまいましたが、ともあれ1月4日の男子会当日。 ラヴィルリエのガレット・デ・ロアを四つに切り分け(ひとつは里帰り中のメンバーの奥さんの分)フランスの新興のワイン産地ラングドック地方の赤とともにいただくという、男三人ではもったいない優雅な時間と相成ったのですが、こうなると気になるのがフェーヴの行方。 フェーヴとはガレット・デ・ロアにはつきものの小さな陶器の人形で(こういうの)、切り分けたガレット・デ・ロアの中にこれが入っていた人はその日の王様、女王様として紙でできた王冠をかぶるしきたり。 フェーヴを引き当てれば一年の福が授かるとも言われている縁起ものなので、ここはぜひとも、もうすぐ父親になるメンバーかその奥さん、ひいてはおなかの中の赤ちゃんに当たってほしいと願うのが人情でありましょう。 そうなる確率は1/2。一同かたずを呑み、言葉少なにフェーヴを食べ進めます。 実際のところはラヴィルリエのガレット・デ・ロアがあまりに美味しすぎて言葉を失っていただけだったりします。 あんなシンプルなパイ菓子があそこまで美味しいなんて、完全に超常現象だということで三人の意見が一致しました。 おしむらくは当日のワイン調達担当者がラングドックはラングドックでもビオワインを買ってきてしまったこと。 有機栽培のワインと聞いて面白いと思って買ったようなんですが、ビオワインには独特の癖があることを知らなかったんですな。 そこがかえって面白いということで五、六年前にブームになったりもしましたが、ビオワインは合わせる食べ物を非常に選びます。みなさまもお気をつけください。 さてさて肝心のフェーブの行方ですが、なんと私が引き当ててしまいました……なんてこった。しかも出てきたのは牡蠣のフェーヴ。 調べてみたところ、フランスの名産品をかたどったフェーヴのセットの中の一つのようで。 鴨やワイン、リンゴ酒のシードルやチーズ等々、美味しそう&可愛いフェーヴがそろったラインナップの中、ひとつだけ混じっているはずれっぽいやつ、ゴールド聖闘士でいうところのデスマスクっぽいのを引き当ててしまうとは……新年早々、幸運なんだか不運なんだか。 ちなみに、リンクを貼った『フェーヴなつじかん』というお店はウェブ上での販売だけでなく、大阪は天満橋の駅近くに実店舗も出しております(地図)。 店内に多種多様なフェーヴが所狭しとならんでいる様子は圧巻。フランスではフェーヴとガレット・デ・ロアが一大文化であることがよくわかります。 オーナーさんも気さくで面白い方なので、お近くに御用の際はぜひぜひ。 |
|
|
| 最初のページ |
|