《森 光年》
先の祝日は、いわゆる逆チョコというやつであちらこちらで知人にチョコレートを配ってまわっていたのですが、その帰り道のことです。 大阪は谷町六丁目のあたりを通りがかったところ、なんと馴染みのフレンチのお店の方とばったり遭遇! なんでもディナー営業に備えて近所のブランジュリにバゲットを買いに行く途中だとか。 いつもカウンターでひとりランチを食べている私を気遣って、なにくれとなく話しかけてくださったりとお世話になっているお店の方。 ぜひともチョコレートをさしあげたいが、あいにく用意していたチョコはすべて配り終えてしまっているという間のわるさ! そんなとき思い出したのが、自分のおやつ用に買っておいた天満橋のパティスリー『アシッドラシーヌ』のチョコレート菓子、クッサン・ド・リヨンの存在です。 クッサン・ド・リヨンとはフランスはローヌ県の郷土菓子で、ガナッシュをマジパンで包んだごくシンプルなもの。絹織物のクッションをかたどったという鮮やかな緑の見た目が面白いです。 で、このクッサンを見たお店の方、たいそう喜んでくださって「糸切り餅みたいですね!」とまだお若い女性なのに渋いコメント。 糸切り餅は滋賀県は多賀神社周辺の銘菓だそうですが……似てる! すごく似てる! まさかフランスのローヌ県と日本の滋賀県が銘菓でつながろうとは! そんなわけで森光年なんですが、前回の記事で話題にしました梅田の阪急百貨店のバレンタインのイベント、タブレットチョコレートミュージアムに行ってまいりました。 日本全国でチョコレートに関する講習会などを開催しておられるショコラソムリエのさつたにかなこさんが、現在世界的にブームになっているタブレットチョコレート(板チョコのこと)をずらりと集めたこのイベント。 知った名前から初めて聞くものまで、世界各地から厳選されたタブレットチョコレートがならぶさまは壮観の一語につきました。 もとはといえばタブレットチョコレートのブームの発端は、産地の農園から直接買いつけたカカオを自分たちで板チョコにしようという意欲的な人たちが増えたことにあります。 中間業者を省くことで産地に直接お金が渡るようにし、南半球の富を先進国が搾取する構造を緩和しようというこうした試みは、近年コーヒー豆でも行われています。 そんなこともあって会場でも目立っていたのは産地の農園で働く人々の写真をパッケージにした商品や、購入すると産地にカカオの苗が一本植えられるという仕組みの商品。 美味しいチョコレートをいただきつつ、地球規模の問題に思いをはせる。すばらしいことだと思います。
会場にはショコラソムリエのかなこさんもおられたので少しお話を。一年前に一度お会いしただけなのに、私のことをおぼえていてくださっていて恐悦至極でした。
かなこさんにお勧めをお聞きしまして、購入したのがオランダに本拠をおくチョコレート会社、Original Beans(オリジナルビーンズ)の商品。 産地のことなる小さなタブレットチョコレートが四つ入っていて食べ比べができるというお得な新商品で、日本ではまだこのイベントでしか手に入らないとのこと。 セット内容はペルー、コンゴ、ボリビア、エクアドル。わかってはいたことですが、本当にそれぞれが全然ちがった味わいなのには恐れ入りました。 とくにペルーのチョコレートは個性が強烈で刺激的。一番バランスがよく美味しいと感じたのはボリビアでした。ペルーとボリビアなんて隣の国なんですけど、こうも違いがあるんですから不思議ですよねえ。 会場では前回も少し触れましたニューヨークはブルックリンの『マスト ブラザーズ チョコレート』の商品も売られていましたが、あまりに売れ行き好調でイベント期間もまだ半ばだというのに一つの商品を残して完売してしまっていました。 さすが現在のタブレットチョコレートのブームの火付け役と呼ばれるマストブラザーズ。注目度がちがいます。 ちなみにこれも前回書きましたが、大阪では北浜の『ブルックリン ロースティン グカンパニー』でマストブラザーズのタブレットが常時販売されています。 こちらではいつ見てもとくに品薄という様子でもないので、食べてみたい方は北浜までどうぞ。窓から見える中之島の中央公会堂が最高で、わざわざそのために足をのばす価値のあるカフェだと思います。 |
|
|
| 最初のページ |
|