《大浜サキ》
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。 新年・コミケ明け早々何ですが、引き続き前の感想集の続きをば。 またしても長くなったので、記事を畳んであります。 アニメに興味のある方はどうぞ↓
(★=オリジナル ☆=原作付き)
●10月まで放送された作品 「らき☆すた」☆☆☆ 昨年、いちばん過小評価と過大評価がなされた作品だと思います。 基本的にはまったりとした萌えサザエさんだと思って私は楽しんでいたので、 後半の実写要素や過剰なパロディ展開には違和感を感じました。前半に見られた、 相米慎二や小津安二郎などの邦画を意識した画面作りは興味深かったですが・・・。 どうでもいい事だけど、だらけてる時のこなたがスライムに見えてしかたがない(笑) 「Darker than BLACK 黒の契約者」★★★★ 前編1話+後編1話のパターンでオムニバスという、珍しい形で放送された 異能力アクションもの。前編が終わった後は、いつも後編が気になりすぎて身悶えしてました。 アクションと言ってもとってつけたようなもので、メインはハードボイルド タッチで描かれるマイノリティの哀しい群像劇です。毎回泣いてました。 最近涙腺が緩くなって困る・・・。 菅野よう子の音楽が、今回は裏方として物語の空気を支えていました。 「精霊の守り人」☆☆☆+☆ BS2で放送された、功殻シリーズのスタッフによるアジアンファンタジー。 第3話の息をも尽かせぬ近接戦にも仰け反りましたが、追う者と追われる者との 知略を尽くした駆け引きが、スリルがあって面白かったです。 それとこの世界って、皆それぞれの立場で自分の役割を全うしてるだけで、悪者が 居ないんですよね。おかげで地味ではあるのだけど、そのへんが見ていて気持ち良かったです。 あと唇がぽってりした女主人公が、功殻の少佐に見えてしょうがなかった(笑) 劇場版かと見紛うほどのクオリティに+☆ひとつ。 「キスダム -ENGAGE planet-」★ 未知の侵略者との主人公の戦いを、クトゥルー神話をベースに描く変身ヒーローもの。 当初は期待作でしたが、第3話で作画崩壊、第4話が総集編だったことでズコーっ。 その後は、常に視聴者の想像の斜め上をぶっ飛んで行く展開に、ネタで付いていくことを 決めました。そして一体、何がキスで何がダムだったのか・・・。 DVD発売は延期になったままですが、ちゃんと発売されるのやら・・・。 色んな意味で近年稀に見る怪作でした。 「天元突破グレンラガン」★★★★ 07年最高の目のおやつ。最終回を含む数々の騒動も記憶に新しいです。 金田パースの継承者として知られる今石監督と、劇団☆新感線を率いる中島かずきの 脚本らしく、破天荒で楽しい作品でした。カミナ燃えー。 「ぼくらの」☆☆ 乗ると死んでしまうロボットと契約した、14人の少年少女たちのもがきを描く話。 料理の仕方によっては最も“今”を感じさせる作品になるかと思ったけど、 結果は原作クラッシャーでした・・・。見終わった後は徒労感にどっと疲れてしまった。 でも前半の、チズとカコの不潔感漂う話や、ダイチの泣ける奮闘ぶりは好きでした。 それに、石川智晶の歌うOP「アンインストール」は今年一番のお気に入り。 世界観とシンクロしすぎです。最初のEDも良かった。 「ヒロイック・エイジ」★★★+★★(趣味) 星をも砕く宇宙最強の種族を使役し、抗争を続ける3大勢力の行く末を、ヘラクレスの英雄譚に なぞらえて描くスペースオペラ。個人的に2007年のMVPです。 クセの強いキャラデザ、ひたすら続く似たような展開、抽象的かつ理屈っぽいテーマ等々、 布教したいのに、どうにも勧められない点が多いのがもどかしい。 それでも、最後までついてこられた人には、きっと満足度の高い作品になると思います。 各キャラ達のじれったい関係・ストイックな兵器の数々・美しい星々を巡る旅・ 巨大怪獣のどつき合い等、定番のSFロマンにキュンとくる方にはおすすめです。 洋邦問わず、今後数年はここまでガチンコなスペオペは作られないんじゃないでしょうか。 現在のアニメ事情にもよるのでしょうけど、こういう作品が夕方に放送されない ところに、今のSF界のアピール力(説得力?)の限界を感じます。 「さよなら絶望先生」☆☆☆☆ 戦前風の美術とシニカルな現代批判の組み合わせがブラックな笑いを誘う一本。 シルクスクリーンを意識した映像美が、シュールさを倍増していました。 制作したシャフトの演出はいつも過剰と批判されがちですが、この話の 現実の上を横滑りしてるような感覚には、違和感なくはまっていたように思います。 「ぽてまよ」☆☆☆☆ こちらも別の意味でブラックなギャグアニメ。見た目の愛らしさとは裏腹に、あらゆる 体液を駆使したショッキングなネタにお腹がよじれました。下ネタ・グロネタ・ホモネタが OKな方はぜひ。非常に丁寧な絵コンテも良かったです。監督の池端隆史の名を この作品で覚えました。 「School Days」☆☆☆ こうも迷いなく視聴者が一致団結して「主人公死ね」と吐き捨てられるアニメも珍しい(笑) ニュースで取り上げられたのとは別の意味で、それってどうなの?と思ったり。 残酷な表現ではもっとひどいものが過去にいくらでもあったと思うんですが、 これは存在そのものが心理的にグロい作品だったと思います。 いじめの包囲網が完成していく回は見ててしんどかった・・・。 それもこれも、演出の密度が高かったおかげなんですが。 たまたま同時期に起きた事件と作中の描写が似ているということで、民放では 最終回が放送中止になった異例の作品。 「モノノ怪」★★★★ 06年1月に放送されたオムニバス「怪~ayakashi~」の中の1エピソード「化猫」から スピンアウトした作品。内容は人間の欲望と因果をめぐる妖怪ミステリー。 見どころはサイケデリックな和の世界です。キャラクターの塗りから影を取っ払い、 錦絵風のテクスチャーを貼り込みまくった画作りは、毎回新鮮な驚きを与えてくれました。 07年ではもっとも挑戦的な実験作と呼べるアニメだったのではないでしょうか。 この手の作品には奇異さを狙った「とりあえずやってみた」的な演出が多いのですが、 最後まで見ると脚本の意図に沿っていたことが解るあたり、好感が持てました。 それだけに、最後のエピソードの演出がこけおどしに終わってしまったのは残念です。 ちなみに好きな話は、香道を題材にした「鵺(ぬえ)」。伝統芸能の魅力に触れる楽しさや、 各キャラのいちいち笑ってしまうリアクション、すべての伏線が揃った先に出現する 地獄絵図など、見所満載でした。 ※(3)に続きます (・・・長すぎましたね、すいません。全部読んでくれて感謝です。次で終わります) |
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